紅茶いちゑ 喫茶去トピックス

1.2000年3月5日号:温度管理にこだわるお話


 おいしい紅茶を入れるために気をつけるコツとして、あらかじめポットをよく温めておくとか、沸騰した湯を使うとか、ティーコゼーで保温すると言うことは良く知られています。
 また、おいしい紅茶をいれるためには茶葉が充分にジャンピングさせると良いとも言われています。ジャンピングをおこさせるために、やかんをポットよりかなり高い位置に持ち勢い良く注いだり、ガラスのティーポットで確かめてみたりするパフォーマンスも見かけます。
 私は長い間煎茶道のお稽古もしているのですが、玉露はぬるいお湯で入れるために茶葉に見合った温度を見極めることが修練の一つでもあります。お湯の温度が高すぎる時に、充分に冷めるまでお客さまをお待たせできない場合、湯冷ましを普段より高い位置に持ち、急須に湯を注ぐと言うテクニックがあります。
 また、おいしい紅茶の入れ方をTVの映像や本の写真で見るとガラスのポットの容量半分くらいでいれています。いくら理想的な形でも大きなポットに少量お湯を注いだのではどんどん湯温が下がってしまいます。それで、以前から自分の経験との矛盾を感じていたので、あらためて条件を一定にして実験してみました。

 室温19℃で、あらかじめ容量いっぱいまで熱湯を注いで充分に温めた全て同じ6カップ用のポット(容量1リットル)デジタル温度計で調べてみました。室温のポットに100℃に沸騰した湯を容量いっぱいまで注いでコゼーをして5分置くと湯温は82〜84℃になります。その状態の再現から始めました。湯温も一定にするために沸騰ポットで100℃に沸騰することを温度計で確認し、再沸騰したてのお湯を使いました。ポットとテーブルの間にはキルティングのマットをひきました。
ChartObject 温度管理実験
1)熱湯を容量いっぱいまで注いでティーコゼーを使用
2)熱湯を容量いっぱいまで注いでティーコゼー不使用
 意外なことに、ポットの容量いっぱいまでお湯を入れた、この2つの場合はティーコゼーの有る無しに関わらず結果がほとんど同じで、直後が約93℃、3分後90℃、5分後88℃前後でした。

 次に同じ1リットル用のポットに400ccしかお湯を入れないで3種類の実験をしてみました。

3)熱湯を2カップ分として400cc注いでティーコゼーを使用
4)熱湯を2カップ分として400cc注いでティーコゼー不使用
 こちらは直後で92℃、お茶が抽出される3分後にはコゼーの有無で7℃も差がつきました。

 最後に1リットル用のポットにポットの30cm上から勢い良く400ccのお湯を注いだ”ジャンピングを良く起こさせるためのやり方”と言われている方法を試してみました。

5)熱湯を高い位置から400cc注いでティーコゼー不使用
これは直後が約87℃で、3分後約81℃、5分後78℃で、3分後、5分後の結果は容量いっぱいのものとは10℃も差がついてしまいました。これでは1)2)と同じ程度に香りを抽出するには不利な条件になります。たとえティーコゼーを用いたとしても、容量いっぱいに注いだとしても、静かに注いだものとは注いだ時点で5℃も差がついているので、上から注ぐパフォーマンスの必要性に疑問を感じています。

 今回の実験は茶葉を用いず、単に湯温の変化のみを計測したものです。しかし、ほとんどの紅茶の香りは抽出温度で左右されます。紅茶の渋みだけが感じられ、香りが充分に抽出できないと感じている方はポットの使い方を見なおされてはいかがでしょうか?私はポットの容量いっぱいの量のお茶を入れると言うことはもっと重視されるべきだと思っています。私は2カップ分いれるときは400ccのポットを使っています。4カップ分は400ccのポットを2個使います。来客時などでカップとお揃いの容量の大きいポットで少量出したい時は小さいポットで抽出し、温めておいた大きいポットに茶葉を取り除いてお茶だけを移して出されてはいかがでしょうか?

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